風吹荒記・リバース

世界の拡がり方

この前のCross sky-Guardianの別の冒頭600文字程度




 首都の西広場に面する多くの建物の中で、一際目立つ建物がある。首都の西方区域におけるちょっとしたオアシス。

「私達を守り、導いてくださる天使様へと祈りを捧げましょう」
 祭壇の前で跪き、手を組んで祈りを捧げる一人の若い修道女。まだ成人していないくらいに見えるが、ステンドグラスから差し込む色とりどりの光が彼女を包み、まるで彼女自身が人ならざるものであるかのように思わせた。
 椅子に座る信者たちもまた彼女に続き祈りを捧げる。曇り無き心で。感謝と親愛を込めて。


 その三時間後。そこには先ほどの修道女が横たわっていた。丁寧なことに、簡易ベッドまで持ち込んで。
「ふぁ~」
「おい」
 そんな彼女を揺する一人の青年。しかし修道女が起きる気配は無く、頭を抱えるのだった。先刻と異なり礼拝堂の中に他の人影は無く、空気も明らかに弛んだものとなってしまっている。しかしそんなことを修道女が気にかけているようには思えない。というより、彼女が作ってしまっている空気なのだから気にかけているはずもない。
「おい、起きろ」
「ん……明日起きるね」
「おい!」
 一旦は目を開けた修道女だったが、それだけ言い残すと青年の声を以降聞くことも無く、そのまま穏やかな寝息を立てて深い眠りへと戻って行ってしまった。結局その日、彼女は今日の残りのほとんどを寝て過ごすことになるのである。青年もしばらくは粘ったものの結局は諦め、彼女の傍に腰かけるといつしか同じ眠りに落ちていったのだった。





まだちょっとだけ。いずれは形になればいいなあ、くらいの。
少しずつ世界を拡げていつしか一つの広い世界。
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