風吹荒記・リバース

折角なので……?

今書いているものが全然肝心な所に到達しない。
とりあえず今できているところまでちょっと置いておきます。
多分pixivに置くのではなくとりあえずサイトに置くんだと思います。
pixivに普段出しているジャンルのものなので閲覧注意と言いたい所なのですが、今書いている分では全然当たり障りの無いアレなのでひとまず今はここに置くにも問題無いかな、といった所です。
多分書き終わったらサイトの一角に専用コーナーを作ってから別垢で宣伝。といった流れでしょうね。きっと。


追記からです。


ここにある内容は高確率で本掲載時に修正されています。
大抵、書いている最中は粗だらけ。だからと言って完成しても粗が無いとはとても言えないものの。





 道端を歩いていて何気なく目に映った女の子。姉と思しき相手と手を繋ぎ笑い合っていた。
「今日ねー、テストで満点取ったんだよ!」
「ふふっ、えらいえらい」
 女の子は頭を撫でられて、そのテストと同じく百点満点の笑顔を浮かべていた。あんまりじろじろ見てしまうとどこかに連絡されそうなので足早に立ち去る……その最中で考えた。自分は笑えるだろうか、と。ちょっと試してみたらぎこちない笑顔ができた、はず。鏡は見ていないけれど、何だか引きつっているような気がする。あんな笑顔のやり方は、忘れてしまったのかもしれない。多分、俺だって昔はできたと思うのだけれど。
「ねえ、約束だよ!」
「うんうん、分かってる。お人形さんを買うんだったね」
 背後に消えていく二人の声を送りつつ、ぎこちない作り笑いを繰り返す。そして、溜め息が零れた。

「何にやけてるの」
「んっ!?」
 考え事をしていたせいでいつの間にか隣にいた人物にも気付かなかった。突然声をかけられてのけ反ると、見知った顔が現れた。
「びっくりさせんなよ、悠奈ぁ」
「普通に話しかけただけなんだけど」
「声かけますって先に言え」
「馬鹿なの?」
 自分で言っていてもよく分からないとは思ったが面と向かって馬鹿呼ばわりされると辛いものがある。相手が違ったらつい攻撃的な態度を取ってしまいそうだ。もっとも、別の相手だったらこんな会話もしないだろうが。付き合いが長いからこその軽口の叩き合い。目の前に現れた友人……悠奈はそんな条件を満たす数少ない相手だった。とはいえ笑顔を作ろうとして単ににやけているだけと判断されるのは辛いが。そういえば、付き合いが長い……となると、ふと気になったことがあった。そうだと話を切り出す。
「ちょっと笑ってみせてくれよ」
「はあ」
 何を言っているんだというそんな気持ちを隠そうともしない声だったが、それでもこほんとわざとらしく咳払いをすると、悠奈は笑顔を作ってくれた。
「ほら」
「おう」
 悠奈は可愛いか可愛くないかで言えば多分可愛い方に入る気がするのだが、何分そのじとーっとした目つきと三白眼が相まって悪印象を与えがちで、そうでなくても愛想が悪いこともあり男受けはしていない。ただ、笑顔を見るとそんなものは些細なものじゃないのかと思ってしまう。表情に特に不自然なところも無く、何だか気分を落ち着かせてくれるもので。じとーっとした感じはそのままだが、それを見慣れているとむしろ心地いい。趣味が可愛らしいとか、色々と知っているからこそのひいき目という可能性もあるが。
「変わんないなあお前」
「何が」
「何でも」
 俺が変わってしまったのか、悠奈が変わっていないことが凄いのか。
「はあ……」
 思わず、溜め息が溢れた。

 交差点の別れ際のことだった。
「そう言うあんたはちょっと変わったかもね」
そうかもしれないと一言だけ返したが、考えていることを見透かされたかのようでちょっぴり棘のある言い方になってしまった、気がした。悠奈はそれに気付いてか気付かずか
、一言別れ際の挨拶をするとそのまま振り向いたりせずにスタスタと帰って行った。


 昔は可愛げがあったのに、とかそんな言葉を聞くことがある。別に直接言われたわけでもなく、アニメや漫画でそんな場面をよく見るだけだ。可愛げにも色々あるものの、笑顔がうまく作れなくなることもその一つなんじゃないか。そんなことを考えた。そうすると今度は違いが気になってきてしまう。今と昔。俺の何が違うのか。
「何だろうなあ」
 ベッドに横たわりつつ考え込んでいると、日中に見た光景が思い浮かんできた。あの女の子の無邪気な笑顔、あれもいつか曇ってしまうのかもしれない。そんな未来を予想してみると空しくなってきた。そして悠奈のことも。今は大丈夫でも、いずれ見られなくなるかもしれない。それは何だか想像したくない出来事。これ以上はいけない――そう思い、頭をぶんぶんと振ってその日は終わりにしようとした。
「いやあ……」
 変わりたくないもんだなあ、とちょっと年老いた言葉だけ残してみた。当然、誰も聞いてはいなかったが。


「今日は最初にテストを返却するぞ」
 周囲にぼやきや嘆息が溢れかえる。テストが終わった当日や翌日は天国、そして返却日はまた地獄なのだろう。こうして余裕を持って周囲を観察できるのはそれなりの点は取れている気がしていたからであり、実際それなり程度のいいとも悪いとも言い難い点数が返ってきた。悪い点を取って説教されることは御免被りたい。ただ、勉強にそれ以上の理由も無かった。むしろ、何でこんなことをしているのかとすら思う。必要性が分かっていても、さっぱり気分が乗らなかった。やらされたからやっているとしか言えない。いい意識は持てそうにない。
「どう」
「どうもこうもない感じ」
「そう」
「シャレか?」
「何が?」
「いや別に」
 悠奈が用紙を覗き込んでくるものだからぴらりと見せてやると、それについて大した反応も無く自分の席に戻って行った。まあ、普通すぎる結果に対して反応しろと言われても困るだろうけれど。周囲に満ち満ちた嘆きも聞くのもそこそこに教科書を取り出し、授業の準備を進める。そこで不意に言葉が漏れた。
「疲れるなあ」
 別に運動の後でもなく、何か悪いことがあったでもなく。どうしてそんなことがこぼれたのか自分でもよく分からないまま、一日が過ぎていく。ようやく下校だ、というときになっても結局分からずじまいだ。


「何だか浮かない顔してるけど」
「おう」
 前日とは異なり悠奈は帰り道の初めから並んできた。別に鬱陶しいわけでもなくただ淡々と歩みを進めるだけで、長年の付き合いともなるとこんなことはよくあった、のだが。悠奈のスカートの裾がひらひらと風に揺れて俺のズボンに触れる。
「近くないか」
 それがどうというわけでもない。とはいえ、いつもと違う距離感にちょっと調子が狂わされる。軽い戸惑いを見せるものの、悠奈の方はそんなことはお構いなしだ。
「何かこの前から変じゃない?」
「お前、そんなの分かるのか」
「顔に出やすいし」
 色白く、ちょっとひんやりとした手が額に触れる。夏の陽気にじんわりと汗ばんでいるがそんなことにはお構いなし。
「ここしばらく、ずっと溜め息ばかり吐いてるし」
「マジかよ。そんなに頻繁にか」
「多いよ。調子悪い?」
「いやあ、何だか変に疲れてる気がするんだよなあ」
「ふーん」
 手を引っ込めるとそれきりだったが、何となく心配されているような雰囲気は感じ取ることができた。そんなに出てるかなーとおどけて見せても目立った反応は無く、ちらりと表情をうかがってみると何やら考え込んでいる様子だった。ほぼ目が開いていないようにすら見え、赤信号の交差点に差し掛かったときには手を引くべきかとも思ったがきちんと立ち止まってくれた。
「ねえ」
「ん?」
「明日休みだけど、何か用事ある? 朝、家に来ない?」
「別にいいけど」
 女子が男子を家に呼ぶとなると変な話になりそうだが、やはりと言われるだろうか、行き来そのものはそれなりの回数があった。だから俺自身としては驚くようなことでも何でもない。ただ、今の状況だとどんな話をするのかは気になってしまう。とはいえ理由を聞こうとも思えず、結局後に発したのは「また明日」、それだけとなった。そしてそのことを大して気にすることも無いままにベッドに入って一日を終えてしまった。ただよく分からない疲れを残して。


 早起きの後のまどろみを過ごしてから訪れた悠奈の部屋。よく知らなければ驚くかもしれないが、昔から見慣れていると新発見も何も無い。パステルカラーの壁紙に囲まれた少女趣味な一部屋。薄い桃色のカーペットに腰を下ろして周りを見渡してみる。変わらないと思っていたけれど、よくよく注意しつつ見渡せば……やっぱり変わらない。最近の記憶はもちろん、幼い頃に見た部屋と同じだ。人形が、ぬいぐるみが並ぶ棚の各段にはレースのクロスが敷かれている。机にも。ベッドに童話の少女が眠っているような白い枠組やピンクの背景にハートを中心とした模様の描かれたヘッドボード。枕にはもちろんフリルが付いている。現実にあるのかと疑われそうなほどメルヘンチックな部屋だ。頭上を照らす照明がシャンデリアだったら完璧だったのだがさすがにそれは無かった。
「飲み物持ってきたけど」
「さんきゅ」
 メルヘンと言えば部屋だけにあらず、悠奈の着ている洋服もパステルピンクの、裾がふわりと広がるようなジャンパースカートにフリルがふんだんにあしらわれた可愛らしいものだった。学校ではあまり目立たないというのに。実は外出している際にも屋内よりは抑え目とはいえこういった格好だったりするのだが、多分クラスメイトは全く気付かないだろう。何も知らず街中で見かければ多分服装ばかりに気を取られるはずだ。個人的には、黒基調のゴスロリ衣装の方が似合いそうな気がする……目つきが目つきだからだろうか。悠奈の持ってきたオレンジジュースをコップになみなみと注ぎ、一気に飲み干す。遠慮するような仲じゃないし、逆の立場でも同じようなことになる。この前は1.5Lを空けられた。そうして一息入れてから、話が始まる。
「で、何するんだ?」
「世間話でも」
「世間話って」
 昨日の今日でわざわざそのために家に呼ぶかとも思うが、とりあえず二人で他愛の無い雑談をし始めた。昨日のテレビの話、夏の暑さの話、近頃気になるものの話。そして次は、
「この部屋も何だか殺風景な気がして」
 ふーんと気の抜けた返事しか返せない。わざとらしく周りを見渡してみるが、童話の切り抜きみたいなこの部屋をどう見れば殺風景だと言えるのか。ただ、変化が無いなという感想だけは俺にもあった。ただ、この部屋に何が合うかと言えばよく分からない。何か参考になる知識があったか思いをめぐらせてみると、一つだけ思い浮かんだ。
「人形でも置けば?」
「なるほどね」
 先日見かけた女の子が人形を買ってもらうとかいうことを言っていたのを思い出してみる。悠奈もそれがいい考えだと思ったのか頷いてくれた。そうして、また別の話題に移り、穏やかな時間が過ぎていく。昼前には帰ろうかとも思ったが、悠奈はちょっと待ってと言うと何かを取りに行く。それは手作りのサンドイッチで、結局それを食べつつまた話を始めてしまった。いくらよく行き来するからと言ってもこれだけゆっくりと滞在することは無かった。せいぜい二、三時間が限度だ。ただ学校の授業と違ってどれだけ続けても疲れを感じることなく、むしろ経過時間に反比例して気分が乗ってくるようだった。
「そういえばお前はこの前のテストどうだったんだ」
「それなり。ところで」
話があっという間に打ち切られることも時折あったが。そんなこんなでまた話の切れ目、さて次はというところで突然壁にかかった時計――やっぱり可愛らしい装飾が付いている――からオルゴールの音色が流れ出した。窓から外をのぞいてみれば、ゆっくりと周囲が暗くなり始めていた。
「うわ、もうこんな時間かよ」
 久しぶりに楽しい時間を過ごしたと思う。それだけに名残惜しい……しかも、思い出す。この後は憂鬱極まりない。
「何か用事があるの?」
「あー、予備校が」
「残念。ていうか、予備校行ってるんだ」
「行きたくないけどなー、行けって言われてな。いい大学出ていいとこに就職しとけってさ」
 メルヘンチックな部屋から一転、いたって普通の白い壁に挟まれた廊下を通り玄関へと出る。名残惜しさからか、話はその間も続いた。
「面倒なんだよなあ」
「じゃあわたしが養ってもいいけど」
「いやあ、それはちょっと悪いだろ」
「別に遠慮しなくていいのに」
「ごくつぶしみたいに噂されたりするときついからさあ」
「そっか」
今度は頼まずとも微かに笑って見せる悠奈。不意に見せられるとちょっとドキッとしてしまう。恋愛感情は……どうなのだろうか。靴を履き玄関の扉に手をかける。またねと手を振られ、おうと一言だけ返してやる。どのみち、次の月曜日は遠い話でもない。
「人形、探してみる」
「いいのが見つかるといいな」
「うん……あっ」
 外に出て扉を閉めようとしたところで突然引き止められる。夏場だというのに、外の風がちょっぴり冷たく感じた。何を言うのかと待っていると、ふっと顔色が消えたように見えた。
「ご、ごめん。何でも、ない」
「んん? まあいいや、またな」
「うん……」
 今度こそ扉を閉める。
「んー」

 楽しい時間だった。ただ、何か引っかかるような気がしていたのは確かだ。


 一旦家に戻って予備校用の鞄を持ちだしてから向かった先。楽しい時間の後に訪れる億劫な、いや苦痛にも近い時間。机の上に開かれた数式たちが俺に眠気をもたらしてくる。かと言って惰眠を貪る訳にもいかず、ひたすら解き続ける。本当に、何をやっているのやら。意味はあるのかもしれないが、できればすぐにそれが知りたかった。この数式は何に使うのか。あの熟語は実際に書く機会があるのか。危険な薬品の知識と戦国武将の名前を同時に使うことがあるのか。いっそ、鞄だけ持ってまた悠奈の家に行ってしまえばよかっただろうか。夜遅くまでいるのも悪いが、その程度の事柄すらも頭から抜け落ちてしまうくらいに使うかどうか分からない知識を詰め込まれていった。もはや暴力じゃないかとすら思うほどに。
「疲れた……」
 終わってからその一言を口に出すことにすら疲れてしまう。気力が尽きかけていることが自分でも分かってしまう。だけど時間は待ってくれない。学校の休日は一日だけで、明日はまた学校に行く必要がある。正直な所は休みたい、のだけれど。きっと許してくれないだろう。

 早く帰って眠りたい。それ以外のことを考えられない家までの道のりを歩く……はずだった。あいつが目の前に現れるまでは。
「悠奈……?」
 店の立ち並ぶ通りを歩く、淡い色彩でありながら目立つファッションの女の子。そんな服装で出歩く人物は他に知らない。思わず声が出る、それは普段と比べればささやかな声。でも、悠奈は俺に振り向いた。
「あ……」
 何故かその顔はほのかに暗い。
「どうしたんだ? もしかして、人形を探してたのか?」
「うん、まあその」
 少なくとも、何かを言おうとして口ごもるその姿からは好ましい出来事があったようには思えない。そのまま何かを考え込むように俯く悠奈。俺が予備校に行っている間に何があったんだ――考えてみようとするものの、疲れた頭はろくに働きを見せてくれない。そのまま長い沈黙が訪れるかのように思われた、のだが。
「ねえ」
 何を言われても聞き流してしまいそうなほどの疲労感。適当に聞き流すくらいの気分。考えることなく俺は適当に返していた。あー、ああ、おう、そしてただの頷き……それくらいしかできる反応は無い、はずだった。
「今から家に来て」
 その口調はあまりにも強く、俺はただ呆気にとられて……そのまま、引っ張られるままに再び悠奈の家に向かっていた。






この次の段落で頭を抱えているのでした。
うまく行かないものですね。


ところで笑える場面ってこの世に存在しますね。
書けないんですね。自分は。
グランド・フォースとかの頃は割とギャグシーン的なものを入れ込んでいた気がしますが氷の床の如く滑り倒すので最近そういうの書いてないですね。
ちょっとくらいギャグセンスが欲しいぞ。
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